先日のblogで、2024年2月2日に行われた東京都スクールカウンセラー大量雇止めについての記者会見でお話された佐藤さん(仮名)の思いを紹介させていただきました。多くの反響をいただき嬉しく思っています。ありがとうございました。
できるだけ多くの方々に当事者の声を聞いて(知って)いただきたいと思い、今回も記者会見でお話をしてくださった山田さん(仮名)がお話されたことをここに紹介させていただきます。
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臨床心理士、公認心理師として、主にクリニックなどの医療領域と学校領域で仕事をしてまいりました。大学院を修了して13年目に入ろうとしています。
東京都のSC歴は10年です。今まで、小学校、高校で主に勤務をしてまいりました。
仕事としては、児童生徒、保護者の面談、教職員からの相談を受けることが主でした。
面談以外には、授業中や休み時間の様子、クラスの雰囲気を知るために教室を見て回ることもありました。SCが学校にいることを知ってもらうためのおたよりの発行、都から要請のある該当学年の全員面接。
また、児童生徒の保護者の方、教職員との連携以外にも、ケースによっては教育相談、子供家庭支援センター、児童相談所と連携をとることも仕事としてやっておりました。
ニーズに応じて病院への情報提供書を作ることも仕事の1つです。面談をしていると時間が取れないので、勤務時間外で書類を作成したり、連携をとることも多々ありました。
都SCは日給制ですので、勤務時間外は全て無報酬です。
自傷行為など子どもたちの命と向き合うことも多く、非常に厳しい現場ですが、子どもたちが自分自身でヘルプを出したり、相談する力を身につけて卒業していく姿にやりがいを感じていました。
今回、補充任用候補という結果をいただき、実質上、不合格でした。公募の面談で変なことを 言ったつもりもありませんが、なにか拙いことがあったのかもしれません。
勤務校では、来年度もいてほしいとずっと言われており、結果を伝えたら「困る困る」と管理職から言われました。 また、「学校評価も非常に高いのに」と言われ、こういう結果になって情けない、生徒や勤務校に申し訳ないなというのが率直な思いです。
雇い止めによって約半分の収入が失われます。その半分というのは約200万で、それを埋める仕事は見つからないので、4月からの生活に不安しかありません。
今回の雇い止めの問題について、私が強調したいのは、これは今に始まったことではないということです。私は、2校から1校に減らされたことがあります。その時も、勤務先の学校からは高く評価していただいていて、「違う学校に異動するんでしょ?」と管理職や先生方に言われ、心苦しかったです。自分が辞めたかったわけではない、来年度もこの学校で仕事をそこでしているはずだったのにと、思いました。
他の仲間からも同じような話を聞きます。
大量の雇い止めは今回が初めてかもしれませんが、現場の評価とは乖離した、不透明な何かによって私たちの仕事は以前から増減していましたし、公募によらない選考であっても、来年度の雇用の保証もありません。
こういった不安定な雇用かつ、不透明な人事評価を毎年受けることへのストレスははかりしれません。
雇用が不安定ななかで、心のケアをしていくことは、安定を提供できなくなる可能性を含んでいると思います。
子どもや、保護者の不安を和らげようとしても、「先生は来年いるかわからないんだ」「見捨てて異動していくのね」と思わせてしまうことは誰のためになるのでしょうか?
また、フレッシュな人材をいれるということは必要なことだと思っています。自分も初任の頃、現場で育てていただきました。ただ、それは現場で評価され、なおかつ若い人にアドバイスできる経験豊富なSCを切ることによって行われるべきことなのでしょうか?
今回の雇止めは、SCのキャリアの育成を止めることにもなりますし、なによりもスクールカウンセラーという行政サービスへの不信感をうみ、サービスの劣化につながると、私は考えます。
来年度以降、また、子どもたちや、保護者などサービスを利用している方々、現場の教職員、そして来年度も都SCとして働く仲間の不安を煽るような人事決定がされないよう、評価システム、 採用方法について改めて討論され、改善されることを切に願っています。
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