ベテランのスクールカウンセラーの3割以上が雇い止めに!
心理職ユニオンは、2024年1月29日~2月11日にかけて、「2024年度東京都公立学校スクールカウンセラー採用状況調査」を実施しました。728人という多くの方に回答を頂きました。ご協力いただいた皆様、大変ありがとうございました。
今回はこの調査結果のご報告をしたいと思います。
回答者の概要を見ますと、勤続年数・年代ともに幅広い方々からご回答いただいていることが分かります。「勤続年数0年」とは新規応募の人であり、その他の勤続年数の方が継続勤務者となります。
◆雇い止めの被害にあっているのはベテランの都SC!
さて、では雇い止めの状況はどのようになっているでしょうか。
2月26日に東京都教育委員会と団体交渉を行ってきましたが、そこで採用状況に関する正確な数字が明らかになりました。以下の通りです。
再任用限度4回を超えた都SCが「公募による再度任用者」ですが、このうちで不合格になった者が雇い止めにあった人たちとなり、その数250人に及び、割合は22.8%でした。
5人に1人以上が雇い止めにあっている計算となります。
再任用限度を超えていない「公募によらない再度任用者」については合格者数のみが開示され、申込者数や不合格者数は開示されませんでした。
ではどのような人が雇い止めになっているのでしょうか。
表3では心理職ユニオンの調査結果から勤続年数と雇い止め割合の関係を見ています。
「勤続年数0年」は新規応募の方ですので、その方々を除いた勤続年数1年以上の方の数字のみ掲載してあります。これを見ると、勤続年数が長いほど雇い止め割合が高くなっていることが分かります。また表4で年代別に雇止め率を見ますと、年齢が高いほど雇い止め率が高くなっています。
今回の雇い止めは、会計年度任用職員の再任用限度を超える人が現れる初めての年となり、したがってその限度を超える勤続5年以上の人たちが雇い止めの中心的な被害者となっています。しかし、表3と表4を見ると、勤続5年以上の人たちのなかでも、とりわけ勤続年数の長いベテランの都SCがより雇い止めの被害にあっていることが分かります。
都SCの業務においては、相談者である児童・保護者との信頼関係を構築し、また教員との連携に必要なスキルを培うためには、一定の勤続と経験が必要となります。今回のベテラン都SCに集中した大量雇い止めは、こうした信頼関係やスキルの担い手を、学校現場から大量に排除するものです。
◆理不尽・不合理な雇い止め
表5は、不採用・補充任用候補者となった方に、結果についての感想を複数回答で聞いたものです。「正当な判断だと思う」という回答はわずか6.8%にとどまり、「採用とならなかった理由が分からず、納得ができない」という回答は78.5%にも及びます。また「長年にわたってスクールカウンセラーとして働いてきたのに採用してもらえないのは理不尽だ」という回答も67.3%に及びました。わずか15分程度だけの面接で、これまでの勤務実績・評価を一切考慮されない今回の採用審査への不信感の強さがうかがえます。
また「スクールカウンセラーの収入がなくなるかもしれず、次年度の生活がとても不安だ」という回答も74.6%となりました。民間の心理職の賃金が低いために、都SCに生計を依存している心理職はたくさんいます。今回の大量雇い止めが、心理職の生活を大きく脅かすものであることが分かります。
そして、「勤務する学校の管理職や教員なども、自分が採用とならなかったことに困惑している」との回答も65.9%に及びます。
今回の雇止めは、勤務経験や現場での評価を一切考慮せずに面接のみで判断したとされています。そのような採用審査の方法による大量雇止めが、現場に大きな不利益と混乱をもたらしているのです。
◆心理職ユニオンの今後の取り組み
心理職ユニオンとしては、東京都教育委員会との交渉・要請や都議会への働きかけを行うとともに、記者会見やネット署名などを通じて広く社会にこの問題を知ってもらう取り組みをしていきたいと思います。
その状況についてはこのブログで報告していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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